新たな旅の始まり
pleyel_c.jpg

Erard_h.jpg

Richards Pianos_190921_0033_0

20200201212049ce9.jpeg
2010年に1度訪れていたピアノコレクションに、2017年春に再訪。
それらの楽器(プレイエル1845年、エラール1875年、ロングマン1785年、他)の試弾を聴いていた
イギリス人楽器オーナーにより、プレイエルによるレコーディングのお話を頂きました。
このホームページにもCHOPINのページがあります様に、従来よりショパンに関心が深く研究をしていた私は
勿論ショパンの愛した19世紀のプレイエルにも魅せられ、できるのか戸惑いながらもお話をお引き受けし、
いつでもそれらの楽器を練習できる機会を頂きました。
テストレコーディングや修復の作業・勉強を通して、共通の強い情熱を持っていた私達は
自然に人生の伴侶ともなりました。
現在も共に学びながら、プレイエルのCD録音プロジェクトを進めています。

2019年夏より、私は18〜19世紀のピリオド奏法をパリ在住のSally Sargent女史の元で学び、
更なる理解を深めています。
彼女はニューグローブ世界音楽大事典(オックスフォード大学出版)において「タッチ」に関する項目を執筆された
フォルテピアノの専門家で、ウィーン国立音楽大学でパウル・バドゥラ=スコダ氏のアシスタントも務められました。
Nadia Boulanger、ドビュッシーの直弟子のMarcel Ciampiなどに師事された
歴史的音楽家の伝統を受け継いでいらっしゃる素晴らしい先生です。

同年、私達はイギリスの5つのピリオドピアノコレクション(英国王立音楽院楽器博物館、コブコレクション、
フィンチコックスコレクション、リンダ・ニコルソン女史コレクション、ラッセルコレクション(エディンバラ大学))を訪れ、
総計約70台のピリオド楽器(1600~1800年代)を試弾させて頂けました。
その際、試弾を聴いて下さっていたFinchcocks CollectionオーナーBurnett夫婦が当地でのコンサートシリーズにお声掛け下さり、
2020年夏のリサイタルに出演・渡英予定です。


舞い込んで来る様々なご縁により、気がつけばあっという間にピリオドピアノの世界へ突入いたしましたが、
奥深い魅力に満ちた世界で、まだまだ勉強中です。
こちらのページでは、私が触れさせて頂くご縁になった夫のフォルテピアノ達を中心に
ゆっくりご紹介・整理してゆきたいと思います。




Period Piano Collection
我が家のピアノ達の紹介です。

色々とくどくどと書いていますが(*^^*)、古楽器界では、
「誰がその楽器を修復したか」はとても重要だそうで、よく尋ねられます。
19世紀のピアノは、修復も調整も、理想の音も、モダンピアノとは全く違い、
最低限チェンバロまで遡り、それぞれの時代のピアノの修復・調整の長年の経験が無ければ
無意識に潤いがあり音量もあり、高音も良く鳴るモダンピアノ的な音に作り変えられてしまうそうです。
また現代のピアニストが、慣れない弾きにくさから現代ピアノの様に調整をお願いしてしまう事も多々あるそうで。。
1800年代のショパンが聴いていたプレイエルを知ろうと思うと、
私たちは謙虚に時代を巻き戻し、ショパン以前の繊細なタッチや音の楽器達にも触れ、
私たちの方の無意識の感覚こそを変えなければならない事に、気づかされます。
そのため修復師さんや調整の方も、伝統的な方法を代々の「口承で」学んで来た人の元で習わない限り、
論文や本などで知るにも載っていない事が多いそうです。
口承でなければ伝えられない、そんな所は演奏法とも似ているのかもしれませんね。
何だか大変な世界に飛び込んでしまった様ですが、(笑)
様々な方と出会い、これまでの感覚を消し、先輩方や楽器に教えてもらう事に満ちている日々です。
ピアノの音そのものへの概念・響きが違うので、ショパンの楽譜の読み方も随分変わりました。


プレイエル pleyel


pleyel_c.jpg
・形態 Grand Piano
・製造年 made in 1845年 ( Paris )
・品番 No.11457
・修復 restored by David Winston ( England in 2006 ) / Maichael Paffet ( Japan in 2019 )

プレイエルはショパンが最も愛したフランスのピアノメーカーで、後年はこの楽器と同じサイズのプレイエルで作曲していた記録が残っています。
修復したDavid Winston氏Cobb Collectionにあるショパンが晩年所有していたプレイエルやベートーヴェンが使用していたBroadwood、またイギリス王室所有のエラールの修復も任された、イギリスで信頼の置かれている修復家だそうです。
2019年に来日、修復・調整して下さったMichael Paffett氏は Cobb Collection から直接推薦して頂いた修復家で、現在ロンドンのロイヤルアカデミーの楽器博物館やスウェーデン王室、ヨーロッパの著名古楽演奏家達のピリオドピアノコレクションの調整も担当されています。
フォルテピアノ奏者のサリー・サージェント先生やリンダ・ニコルソン女史は彼が現在担当しているご縁でご紹介して下さりました。Finchcoks collectionのバーネットご夫妻もお互いよくご存知。David Winston氏もバーネット氏の元研鑽されたそうで、皆さん繋がっておられます。(^^)

イギリスの修復家達は1人ではなく横のつながりも強く、同僚間で情報交換も盛んであり、修復家の個人的嗜好や経験・知識に偏らないネットワークがある事も、我が家での修復中、一週間一緒に過ごしていて知りました。
現在とは価値観、社会、時間の流れ、街中の騒音も全く違う時代の楽器。
布一枚、材質、角度0.1度、0.1mmで音やタッチが変わり、本当に奥深く面白いです✨

20200607161604ff9.jpeg20200607161609fb2.jpeg202006071616112ad.jpeg2020060716160820e.jpeg

202006071616123c4.jpeg2020060716160555b.jpeg20200607183727033.jpeg202006071837293e5.jpeg

内部の品番の周りやアクションには、複数の職人さんの名前が刻印されています。
プレイエルがオーナーと言えど、実際に作業をしていたのは複数の職人さん達。
Michael曰く、ピアノが完成した時に、職人の中でもリーダーの人はピアノ内部にサインの刻印をし、下の地位の職人達はスタンプやイニシャルを入れるのが伝統だそうです。
サインを見ているとタイムスリップする様でワクワクしますね。
アクションに書いてある「donoghue」はアイリッシュネームで、「ドナヒュー」と発音するそうです。(フランスや日本ではドノゴエと発音されているみたいです。) イギリスではよくある名前だそうで、夫の同級生にも同じ名前の人が沢山いたそうで、名前を見るだけでアイルランド人とすぐに解るそう。当時のパリにはイギリスからの職人が多く来ていたそうです。
William Donoghueは1799年にアイルランドに生まれ、1829年にはパリで家具職人として働いていました。その後1850年よりプレイエルの工房で働き、1888年に亡くなったそうです。→家系図サイト
それぞれのピアノのパーツごとの担当職人名簿(写真)には、プレイエル内部にあるのと同じ名前と完成日がちゃんと記されていて、ドキドキします。 職人さん達が確かに生き、働いていた証。お仕事に感謝✨
プレイエルについては、また演奏と共にYoutubeのプレイエルダイアリーでもシェアしてゆきたいと思います♪


David Winstonさんの修復風景。
夫も何度もここへ伺ったそう。


2020061001085118e.jpeg202006100108510ce.jpeg20200610010856772.jpeg20200610010853cfa.jpeg20200610010855159.jpeg
Michael Paffettの修復風景。
1枚目はロンドンの英国王立音学院でのプレイエル作業中(1843年のスクエアピアノ)。
2枚目からは我が家にて。調律師の阿部秀明さんにもお世話になっています。




Erard エラール

Erard_h.jpg
・形態 Grand Piano
・製造 made in 1875 ( London )
・修復 David Winston ( England in 2004)


 − 作成中 −





ロングマン&ブロデリップ Longman and Broderip

Richards Pianos_190921_0033_0
・形態 Square Piano
・製造 made in 1789
・品番 No.1816  ( serial number & year by Square Piano Tech )
・楽器選定 selected by Christopher Nobbs
・修復 restored by Jean Maurer ( England in 1998 )

ロングマン&ブロデリップは1767年にロンドンで設立されたピアノメーカーで、後には作曲家のクレメンティも経営に加わりLongman & Clementiとなります。その後幾つかを経てCollard & Collard(コラード&コラード)となったメーカーです。

楽器の選定をしてくれたChristopher Nobbs氏は、Cobb Collectionのアドバイザーであり、ロンドンのロイヤルアガデミーの 楽器博物館の名誉研究員にも迎えられている有名な修復家だそうです。マルコムローズさんにより「ピリオドピアノを購入の時には必ず専門家と共に選ぶべきだ」と助言を受け、Nobbs氏の目利きによりこのスクエアピアノは選ばれたそうです。
その時他にも見た1つ、1870年製のBroadwoodには「このピアノは反響板のカーブが落ちているため、修復しても良くないor時間がかかるので選ぶべきでない」等と、1つ1つの楽器を詳細に見てくださったそう。
スクエアピアノは初期のものはエスケープメントを持っていないのですが、こちらは持っているタイプ(シングル)。
エスケープメントはこのLongmanのピアノ会社のJohn Geib氏により発明されました。
エスケープメントがあると弾きやすく、状態もとても良いのでこちらをお勧めされたそうです。

Nobbs氏は、夫がプレイエルを探していた時にも共に見学に行き、「このピアノは選んではいけない、鍵盤のバランスポイントが変えられていてモダンピアノの様になっている、他の所もそうだ」等と教えてくださったそう。フォルテピアノの選定は難しいのですね!私にはさっぱり解りません(*^^*)

そして何と、2019年にMichaelが我が家へ訪れた時、この夫のスクエアピアノを見て彼は、
「???!???これは僕が初めて修復した楽器だ!このダンパーレールは僕が修復した!エー!そうだよ、この鍵盤の下の緑の布も僕がしたんだよ!」というのです!何という偶然でしょう(*^^*)
Michaelは10代の頃から古楽器修復の修行を親方の元でしていたそうですが(厳しかったそう)、彼も「日本でその楽器に会うなんて」と、目を丸くしていました。
そのMichaelが扱った楽器をNobbs氏が知らずに「状態が良いもの」として推薦した事も、何だかまた嬉しい想いでした。

因みに、購入時に修復してくださったJean Maurer氏もマルコムローズさんからのご紹介。(Nobbs氏は既に当時半リタイアされていて、アドバイスのみをメインにされていたそう。)
Maurer氏の家のリビングには普通に修復中のピアノがあり、フランスなまりの英語を話すこれまたちょっと面白い方だったそうです。笑 (Michaelも繊細だけれど個性的で面白く。ヨーロッパを飛び回って修復している彼は、いつも面白い旅行記がメールで来ます。着眼点がとても興味深く、芸術家さんなのだと感じます。(o^^o))

2020060801002074e.jpeg2020060801002002f.jpeg20200608010354de1.jpeg2020060801002261b.jpeg



Donzelague ドンズラーグ


20200201212049ce9.jpeg
・形態 Clavecin (Cembalo/Harpsicord)
・製造 copied by Malcom Rose in 1996
・原楽器 Copy of Donzelague, 1711, private collection, London

 − 作成中 −